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大人の自閉症

大人の自閉症:遅れてくる気づき

三十代、四十代、五十代になって初めて自閉症を考え始める人は、たくさんいます。自閉スペクトラム症が大人になってから現れることはありません。ずっとあったもので、遅れてくるのは、それに気づくことのほうです。

なぜこれほど遅れるのか

いま大人になっている人たちが子どもだったころ、使われていた基準はもっと狭く、しかも明らかな言葉の遅れがある男の子をもとに書かれていました。言葉が遅れず、成績が悪くなく、大人の手を取らせない子どもは、目に留まりません。

もう一つは、隠すことです。まねを覚える、会話を先に組み立てておく、落ち着くための動きを抑える。これはよく効くので、裏側の消耗は人に見えません。そして効率が悪いので、何十年も続けた人は使い果たされます。

説明のつききらない診断をいくつも通ってきたこと、たとえば不安、うつ、摂食の問題。それ自体が情報です。大人になってから自閉症を疑い始める、いちばん多いきっかけがこれです。

大人によく出る形

  • 人と会う場面に、ほかの人には要らないらしい準備が必要になる。
  • 楽しく過ごせたとしても、数時間人と一緒にいたあとはっきり疲れる。
  • 誰が来るのか、どこか、どれくらいかを前もって知っておきたい。
  • 興味が深く長く、細かさの度合いが人には行き過ぎに見える。
  • 音、光、衣服のタグ、食感に敏感。
  • 字義どおりに受け取る。比喩の意味に追いつくのが遅れるか、届かない。
  • 演じている感覚があり、どれが本当の自分かわからない。
  • 小さく見える決まった手順があり、崩れたときの代償が大きい。

これらの特性は自閉症の外にも存在します。大事なのは、その組み合わせ、子どものころからあること、そして実際の代償です。

日本で評価を受けるには

決まった一本の道はなく、地域による差も大きいです。よく使われる入口はこれらです。

窓口 できること
発達障害者支援センター 都道府県と政令指定都市が設置している相談の拠点です。相談と情報提供、関係機関との調整を行います。どこで評価を受けられるかを尋ねるのに向いていますが、診断そのものは医療機関で受けます。
精神科・心療内科 診断が出る場所です。大人の発達障害を扱っているかは医療機関で差が大きく、予約の前に確認する価値があります。
大学病院などの専門外来 大人の発達障害の専門外来を置いているところがあります。数が少なく、待つことが多いです。
精神保健福祉センター 各都道府県にあり、こころの健康全般の相談窓口です。どこへ行けばよいかわからないときの出発点になります。

きちんとした評価では、複数の材料が組み合わされます。臨床の面接、知能検査(WAISなど)、できる範囲での生育歴の聞き取り、そして別の説明を外していく作業です。

生育歴という難しい部分

これが大人の評価でいちばん多い実務上の壁です。診断基準は特性が発達の早い段階から存在することを求めますが、必要なのは三十年、四十年前の証拠です。

聞き取れる親がいないとき、あるいは記憶が薄れているときは、手に入るもので進めます。通知表と所見、母子手帳や乳幼児健診の記録、写真、動画、作文や日記、そして本人の語りです。親からの聞き取りができないことは、何も否定しません。

診断が出たあとに変わること

何を求めていたかによります。実務の面では、職場や学校での配慮につながることがあり、条件に当てはまる場合は精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療の対象になることもあります。該当するかは個別の判断になるので、支援センターか医療機関で確認してください。

個人の面では、役に立ったのは別のことだったと多くの人が言います。三十年のあいだ無関係に見えていた断片を、一本につなぐ説明です。

反対のことも書いておきます。診断は必須ではありません。この過程にかかる代償のほうが、得られるものより大きいと判断する人もいて、その選択も同じように成り立ちます。

RAADS-Rテストを受ける80問、15分ほど、無料です。

よくある質問

自閉症は大人になってから出ますか

出ません。診断基準は、特性が発達の早い段階から存在することを求めます。遅れてくるのは気づきのほうです。

親に聞けない場合はどうなりますか

評価はできます。手に入る記録と本人の語りで進めます。生育歴が取れないことは、何も否定しません。

診断を受けると仕事に影響しますか

診断を誰に伝えるかは自分で決められます。職場に伝えずに診断を受けることもできます。

このページにあるものは診断ではなく、医学的な助言でもありません。お問い合わせ。